冷淡なる薔薇の王子と甘美な誘惑
「……ディオン様……っ、ディオン様……っ」
視界が滲んではっきりと見えないディオンの姿を確かめるように、繰り返し繰り返し名前を呼ぶ。
それに応えるように、温かな掌は涙で濡れる頬を優しく撫でてくれた。
「また泣いているではないか……フィリーナ」
「……ディオン様……っ……!」
同じような台詞の既視感にはっとする。
慌てて、ディオンが消えてしまわないように触れる掌を自分の手で押さえた。
少し滲みの治まった視界に戻ってくるのは、フィリーナを真っ直ぐに見つめる漆黒の瞳。
「どうすれば笑ってくれるのだ……」
「ディオン様……」
少し困ったように微笑むディオンは、身体を起こそうとしたけれど、思ったように動けなかったらしく、痛みに顔をしかめて、また枕に頭を戻した。
視界が滲んではっきりと見えないディオンの姿を確かめるように、繰り返し繰り返し名前を呼ぶ。
それに応えるように、温かな掌は涙で濡れる頬を優しく撫でてくれた。
「また泣いているではないか……フィリーナ」
「……ディオン様……っ……!」
同じような台詞の既視感にはっとする。
慌てて、ディオンが消えてしまわないように触れる掌を自分の手で押さえた。
少し滲みの治まった視界に戻ってくるのは、フィリーナを真っ直ぐに見つめる漆黒の瞳。
「どうすれば笑ってくれるのだ……」
「ディオン様……」
少し困ったように微笑むディオンは、身体を起こそうとしたけれど、思ったように動けなかったらしく、痛みに顔をしかめて、また枕に頭を戻した。