徳井涼平の憂鬱

その參

「俺の好きなのは・・・朱希・・・だから。」
「・・・りょう・・・もう! デートごっこはわかってるけど、そういう事不用意に言わない!」
「バレたか。」
「バレいでか!」

 なんと言ったら信じてもらえるだろう? いや、今は信じてもらえなくていい。学生だし、生活力もない。もっと大人になってから、ズルいとは思うけど兄貴達が夫婦の倦怠期を迎えたあたりで・・・。何しろ三組に一つのカップルが離婚するらしい。まだ、可能性は0じゃあない。

 俺にムリヤリ『兄貴の嫁さんパートⅧ』のDVDを見せた悪友の鎌田が言っていた。(ムリヤリだ、俺は見たくなかった。朱希さんがあんな淫乱なわけないし、義理の弟をたぶらかしたりしない。・・・して欲しいけど)「俺のおばさんなんかバツ3だぞ、滝田の姉ちゃんも離婚したし、神田のとこなんかバツ2同士の再婚。なんで離婚するのに結婚したがるんだろ。」
 知らん。知らんがそれはこの際どうでもいい。
 大事なのはこの恋に希望がある、ということだ。


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