徳井涼平の憂鬱
「涼平! 朱希ちゃん来たわよ!」
階下からの母親の声に、涼平はハッとした。
兄貴の嫁になってしまった初恋の人が今日、皮肉なことに俺の誕生日を祝いに来てくれた。
階段を降りていくと、花がほころぶように朱希さんが笑った。
「こんにちは。」
「・・・いらっしゃい。」
「あら? 珍しい、ちゃんと着替えてるじゃない。」
母ちゃんうるさい。
「兄貴は?」
「あ、匡平(きょうへい)は仕事で遅れてくるの。ゴメンネ。」
「いや・・・てか、いいのに17にもなって誕生日とか・・・」
「ま、折角朱希ちゃん来てくれたのに愛想のない。ごめんなさいね、朱希ちゃん。」
「いえ、私が来たがったんです。一人っ子だから兄弟が出来たのが嬉しくて・・・ゴメンネ、涼平くん。」
「そ・・・いや・・・にしても・・・早くね? 時間・・・」
そんなに可愛く謝らないでよ。朱希さん何も悪くないのに・・・。
「あんた、ジーンズ欲しがってたでしょ? お金出すから、朱希ちゃんと一緒に買ってきなさいよ。」
「え?」
「誕生日プレゼント、何が良いかわからなくて・・・お義母さんに相談したの。そしたらお義母さんもまだ用意してないって・・・それで、ジーンズを買いに行くついでに私も涼平くんの欲しいもの、一緒に買いに行けたらなって・・・」
「朱希・・・さんと?」
「うん。いや?」
「・・・上着取ってくる。」
階下からの母親の声に、涼平はハッとした。
兄貴の嫁になってしまった初恋の人が今日、皮肉なことに俺の誕生日を祝いに来てくれた。
階段を降りていくと、花がほころぶように朱希さんが笑った。
「こんにちは。」
「・・・いらっしゃい。」
「あら? 珍しい、ちゃんと着替えてるじゃない。」
母ちゃんうるさい。
「兄貴は?」
「あ、匡平(きょうへい)は仕事で遅れてくるの。ゴメンネ。」
「いや・・・てか、いいのに17にもなって誕生日とか・・・」
「ま、折角朱希ちゃん来てくれたのに愛想のない。ごめんなさいね、朱希ちゃん。」
「いえ、私が来たがったんです。一人っ子だから兄弟が出来たのが嬉しくて・・・ゴメンネ、涼平くん。」
「そ・・・いや・・・にしても・・・早くね? 時間・・・」
そんなに可愛く謝らないでよ。朱希さん何も悪くないのに・・・。
「あんた、ジーンズ欲しがってたでしょ? お金出すから、朱希ちゃんと一緒に買ってきなさいよ。」
「え?」
「誕生日プレゼント、何が良いかわからなくて・・・お義母さんに相談したの。そしたらお義母さんもまだ用意してないって・・・それで、ジーンズを買いに行くついでに私も涼平くんの欲しいもの、一緒に買いに行けたらなって・・・」
「朱希・・・さんと?」
「うん。いや?」
「・・・上着取ってくる。」