空ーsky-
「家庭教師はやめちゃったの。元々、ここを開くための資金稼ぎのようなものだったしね」

そうだったんだ……

「なんか、怒らせちゃったかな?」

「いえ、そうじゃないんです。ただ、嘘つかれていたのかと思って。ただでさえ、図書館で出会った知らない人だったので。連絡先は交換してませんでしたけど……本来そうやすやすと仲良くするようなものじゃないでしょ。実際、何度か親にも怒られちゃってて。でも、春さんがいい人だってことは感じてたし、だから仲良くさせてもらってたので。嘘つかれてたのかと思ったら……」

「ねえ。兄貴と楠木ちゃんって知り合いだったの?」

私と春さんのやり取りに唖然となり置いて行かれていた海堂君がやっとというように口を挟んできた。

「うん。図書館でね」

「そうだったのか。じゃあ、兄貴がいつも話してた図書館の女の子って楠木ちゃんだったわけか」

納得したように海堂君は何度か頷いた。
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