空ーsky-
「あの、海堂君。図書館の女の子って?」

「兄貴がさ。夏休み頃かな?図書館で面白い子見つけたんだってニコニコしててさ。それから何度も聞かされてたんだよ、図書館の女の子の話。まさか、楠木ちゃんだとは思わなかったけど」

春さんが私の話を?

「彩斗、余計なこと言うなよ」

カウンターの内側でごそごそと、コーヒーを入れてる春さんは注意いや口止めするかのように弟である海堂君に向かっていった。

「分かってるって」

「余計な事とは?」

「ごめんね、楠木ちゃん。言ったら鬼が現れるから言えないや」

「誰が鬼だって?彩斗君?」

コーヒーを淹れ終わった春さんは器用に三つのカップを私と海堂君のいるカウンターに持ってきて、自分も海堂君の隣に座った。

「ご、ごめんなさい」
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