空ーsky-
寒い。やっぱり学校なんて来るんじゃなかった。図書館に行ってあの人と話してればよかった。帰りには図書館寄ろう。一時間くらいしかないかもしれないけど、それでもあの人と本の話をしよう。あとは、午後の授業三限分だけ。我慢しよう。

「綾人。次の授業のノート見せてくれない?宿題やり忘れてさ。今日絶対指されるから。数Ⅰの火野先生日付で当てるからさ。悪魔の12日」

前の席で二人の男子が話してる。日焼け気味の男の子は『悪魔の12日』何て言うくらいだから、12番なんだろう。

ガラガラ

「時間だそー。早く座れー」

「やっべ写せないじゃん」

「残念だったな」

もう昼休み終了か。ほとんど読めなかった。ほんと学校なんていいことない。

キーンコーンカーンコーン

「いつまで食ってんだ、木村」

「さーせん」

クスクス

クラスのみんなが笑う。これのどこが面白い?読書の方がよっぽど面白い。

「分かってんなら、忘れんなよな。見せてやるけどさ。次はないからな」

「分かったよ。サンキュ」

宿題。そんなのあったんだ。クラスメイトの話なんてただの雑音にしか聞こえない。読書には、邪魔なだけ。
< 2 / 26 >

この作品をシェア

pagetop