空ーsky-
「お前ら宿題やって来ただろうな」

「すいませーん。忘れましたー」

先ほどノートを写そうとしていた日焼け気味の男の子が言う。早く授業始まんないかな。

「おい。橘、お前な…………楠木、お前来てたのか」

「はい」

「……じゃあ、始めるぞ。この間最後に出した宿題の丸つけからだ」

教師の間では私、楠木 柚月(くすのき ゆづき)はいないのが当然になってしまったようで、午前の授業では毎時間驚かれた。教員として、生徒が来て驚くのはどうかと思ったのは、入学して2回目の登校、4月31日まで。もう、慣れた。

「今日は、12日。橘、お前問1答えろ」

「いや、だから言ったっしょ。俺やって来てないの。だから答えられません」

「じゃあ、後で聞くから。お前解いとけ」

「えー火野先生それはないですよー」

早く授業全部終わらないかな。

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