誰かが君に恋してる。~純情男子の恋の傾向と対策
空気が重い昼下がりの教室。

まるで叱られた子供のように項垂れる俺。



酒井が溜め息を吐く。



「ピカルには失望したよ。」



「ごめん…」



小さくなる俺に酒井は更に言う。



「どうして役者になりきれん!」



答えは簡単だ。



「役者じゃないから。」



しかしそんなことを言えば火に油を注ぎかねない。

俺は黙って俯いていた。



「これだけ台本もいいのになぜお前は芝居が下手なんだ!」



台本じゃねぇし。それ「マニュアル」だから。

と、心の中で反抗する。



「酒井、無茶言うな。」

的矢がフォローする。

的矢は俺のことを分かってくれる。



「役者にも天才役者と大根役者がいるんだよ。」



「……」



やっぱり的矢も俺のことを分かってはくれないようだ。
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