誰かが君に恋してる。~純情男子の恋の傾向と対策
俺の声に気付き彼女が顔を上げる。



視線が交錯する。



咄嗟に俺は、彼女が

「私じゃなかったのかな?」

と思った気がして、反射的に彼女に微笑んだ。



「いつもこの時間の電車でしょ?俺もなんだ。」



額に掛かる前髪を掻き上げると朝陽をもろに受け、眩しさに眼を細める。



彼女の大きな瞳がぱちぱちと瞬く。



「あの…話したいことがあって。」



彼女は俺からは瞳を反らさずに少し小首を傾げる。

マホガニー色の髪がなめらかな頬に流れる。



「放課後…



もう一度逢えないかな?」
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