誰かが君に恋してる。~純情男子の恋の傾向と対策
俺の言葉に彼女はただでさえ大きな瞳を更に大きく見開いた。

それから重ねた両掌を胸に当てる。

視線が泳ぎ、髪のかかった頬が心なしか色付く。



「帰りに、隣の上りホームで。

どうかな?」



線路を隔てた隣のホームを指差す。

少しの沈黙。

僅かな沈黙でも聞こえる程の激しい鼓動。



にも拘わらず、俺は自分でも驚くほど落ち着いた声で喋っていることに気付く。



コートのポケットに何気なく指を掛け、彼女の表情を覗き込むと
彼女がこちらを窺うように少し上目遣いに俺の方へ眼を向ける。

再び重なる視線。

その瞳はどこか不安げな気がして…



俺はもう一度彼女に微笑む。



怖がらないで。

ただ君のこと…

好きなだけだから─
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