誰かが君に恋してる。~純情男子の恋の傾向と対策
「……」
彼女が口を開くのと同時に7時49分の電車がホームに入ってくる。
風が彼女の髪と上品なワイン色のマフラーを煽る。
轟音に掻き消されたけれど、俺は間違いなく聞こえた。
彼女の声で
「はい。」
と…
俺は彼女に右手を軽く上げ、背を向ける。
そしていつもと違うドアから電車に乗り込む。
ドアが閉まると同時に緊張が解けて、崩れ落ちるようにドアに背を付け全身を預けた。
呼吸が早い。
(俺…)
逢えるんだ、彼女に…
遂に話が出来るんだ…
* * *