誰かが君に恋してる。~純情男子の恋の傾向と対策
〈Another side story~純情女子の恋の傾向と対策〉
「すみません。」
冬の朝の駅のホーム。
直ぐ近くで男の人の声がして、私は顔を上げる。
不意に紺色のコート姿の男性と眼が合う。
隣町の海成高校の制服。
海成に知り合いはいない。
というかそもそも男の人に知り合いがいない。
(やだ…私が声掛けられたんじゃないのについ顔上げちゃった…)
恥ずかしくなって、何事もなかったように素通りしようとする。
と、その人がにこりと微笑んで言った。
「いつもこの時間の電車でしょ?俺もなんだ。」
(え、やっぱ…私!?)
彼が前髪を掻き上げると、朝陽を受けた瞳が一瞬きらりと輝く。
眼を細めて微笑む様は朝陽に負けないくらい爽やかで。
(うゎ…イケメンさんだぁ…)
つい頬が熱くなる。
顔、赤くなってないかな…
分かっちゃったら恥ずかしい…