誰かが君に恋してる。~純情男子の恋の傾向と対策
じっと見つめられてるのが落ち着かなくて、とりあえずこくりと頷く。



「ありがとう。じゃあ、また後で。」



そう言って見せる笑顔はあたかも少女漫画の王子様のようで…



釣られて私は

「は…はい…」

と応えてしまう。



声が、うわずる…



その時ちょうど私が乗る電車がホームに滑り込んでくる。

ありがたいことに、轟音と風で私の間抜けな返事は掻き消された。



彼は右手を軽く上げて背を向け、近くのドアから電車に乗り込んでいく。

その後ろ姿を呆然と見送る私。



「7番線ドアが閉まります。」



アナウンスで我に返る。



(やだっ!乗らなきゃ!!)



私は慌てていつも乗るドアに駆け込んだ。

     *  *  *
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