誰かが君に恋してる。~純情男子の恋の傾向と対策
そんな11月末の水曜日の放課後。

それは起こった。



彼女に翻弄されっぱなしの俺に見えるけど、実は受験生。

2学期からはがっつり週4塾に通っている。

塾はいつもの乗換駅にあって、
4日のうち月、水、金曜は放課後学校帰りに酒井と行っている。



その日も俺たちは塾に行き、いつも通り授業前にラウンジで
コンビニで買ってきたオニオンコーンマヨネーズパンをかじりながら一息ついていた。



すると、



「すみません、今いいですか…?」



と直ぐ脇で女の子の声がした。



声の主はこの辺りの県立高校の制服らしいブレザー姿の、茶色い髪をポニーテールにした女の子だった。



「あの…酒井君、ちょっと話せますか?」



あ、この感じって…



「俺、先行ってるわ。」

と、立ち上がろうとすると、

「いや、いい。」

と酒井が俺の前に左手を出して制した。



(いい、って…めっちゃ居心地悪いんだけどーッ!)
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