現状報告!オタク女子ですが、エリート上司に愛されてます。
「係長、こっちの稟議書に目通しておいてもらいたいんだけど」
「……」
「聞いてる? 係長ー」
「はっ! す、すみません!」
なんてこと。私ってば、仕事中に上司の指示を、しかも志木さんの指示を無視しそうになってしまった。
昨日から、ずっと考えてる。これから、どんな自分になっていくべきか。
それは、志木さんにふさわしい立派な女性になるため。彼の隣に釣り合う彼女になるため。
……でも、それを考えていたが故に仕事中にボンヤリしてしまった……ふさわしい女性だなんて、聞いて呆れる。
「じゃあ、これな。
あと俺、昼休憩行ってくる」
席を立った志木さんが、私の席まで来て、稟議書を直接手渡してくれる。
「はっ、はい。わかりました」
そう答えながら、私は彼から稟議書を受け取ろうとしたけれど。
「あわわ」
なにに動揺しているのか自分でもよくわからないけれど、受け取ったそれを床に落としてしまった。
紙がバサーッと扇のように広がる。
「ご、ごめんなさい」
慌ててしゃがみこんで、広げた稟議書を拾い集める。
すると、志木さんも同じようにしゃがみこみ、拾うのを手伝ってくれる。
「す、すみません」
完全な私の不注意でこんなことになってしまっているのに、手伝わせてしまって申しわけなさしかない。
ふたりで稟議書を半分ずつ拾い集めると、志木さんはそれを私に手渡してくれるーーと思ったら。
急に、顔を近づけてきて。
手にした稟議書で顔を隠しながら、突然、キスをされた。