現状報告!オタク女子ですが、エリート上司に愛されてます。
「お待たせしました」
慌てて自分のデスクから立ち上がり、融資窓口に着く。
今日も相変わらず控えめで儚げな様子の橋田さんと、正面に座り合う。
だけど、ちょっと気まずいなー。彼女は、志木さんのことが好きで以前再告白してたわけだし……。
まあでも、彼女は私が志木さんの恋人だということはたぶん知らないんだし、普通にしてればいいか。
そもそも、私に用事があるわけではないんだろうし。
「すみません、志木はこの時間はいつもお昼休憩なんですよ。携帯に電話してみますので、少しお待ちいただけますか?」
そう言って、私はデスクの電話の受話器に手を伸ばそうとするけれど。
フルフル、と橋田さんは首を横に振った。
「橋田さん?」
無言の彼女をじっと見つめると、彼女もようやく、私の目を見つめ返してくれて。
そして。
「……カズが今付き合っている彼女って、あなたなんですよね?」
そう言われて、私の心臓がバックン!と大きな音を立てた。
な、なななんで知って……! いや、志木さんが話したのか。それしか知る方法はないもんね。
なら、下手にごまかさない方がいいよね……。
「は、はぃ」
思わず語尾が小さくなってしまったけれど……私がそう答えると、彼女は一度私から目を逸らし、だけどまた見つめて。
「この間はごめんなさい。映画館で会った時。カズには今恋人がいるって知ってたのに、私が無理言ってあの日だけ会ってもらってたんです。でも、映画を観たり少し話をしただけで、本当になにもありませんでした」
それを聞いて、私はつい目をぱちくりさせて、たぶん口も半開きで、変な顔をしてしまっていたと思う。
言葉が少なくてあんまりちゃんと会話をしてくれない、なんてイメージがあった彼女が、声は小さいものの、こうして私の目を見てしっかりと話をしてくれているということも少し驚いたし、なにより、それを言うためにわざわざ私に会いに来てくれたのかなって思ったから。