現状報告!オタク女子ですが、エリート上司に愛されてます。
night.2
俺と付き合ってほしいんだよね、って聞こえた気がするけど……


聞き間違い、だよね?



「し、志木さん、すみません。ちょっともう一度言ってもらってもいいですか」

「いいよ。俺と付き合って」


き、聞き間違いじゃなかった……!


な、なんで!? なんで志木さんが私にそんなこと!?

私はあわあわと動揺して口ごもることしかできず、そんな私に、彼は。


「ずっと気になってたんだよね。井原さんのこと」

「え……?」

「まあ、確かに、あの夜のことは少し驚いたけど。実際、あの件の印象が強くて、井原さんの名前を忘れられなかったんだ。もちろん、最初は特別な感情はなかったんだけど」

今、私はおそらく告白を受けているはずなのに、動揺しているのは私だけで、告白を口にしている志木さん本人は至って冷静だ。彼は、そんないつもと変わらないクールな様子で、言葉を続けていく。


「だけど、二年くらい前からかな。俺がまだ東駅前支店に異動してくる前、ほかの社員たちが井原さんの名前をよく口にするようになったんだ。内部事務のことは井原さんに聞けばわかる、みたいな」

「え、あ……」

確かに、その頃からだ。同じ店で働く社員たちからだけじゃなく、ほかの支店の社員さんたちからも内線などで事務についてよく聞かれるようになったのは。


「ベテランの社員ならともかく、まだ二十代なのに、全店の社員からそんなふうに頼られるなんてすごいなって思っだ。でも、どんな子だったから思い出そうとしても、正直、ガチムチリーマンの印象しかなくて」

「サ、サラッとガチムチリーマンとか言わないでください……」
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