現状報告!オタク女子ですが、エリート上司に愛されてます。
そう思ってしまうから、私は漫画やアニメやゲームの世界という趣味から抜け出せないのだけれど、母はそんな私のことをずっと心配に思っているわけで。


そんな母を安心させようと、私はある日から、”勉強”に精を出すことにしてみた。

金融業務等における知識の自主勉強はもちろん、資格をたくさん取るため、職場で斡旋されている資料や教材もたくさん取り寄せた。


仕事は決して嫌いじゃない。むしろ、やりがいがあって、仕事のためにがんばることは嫌ではない。
勉強も、ニガテ意識はこれといってないし、新しいことを覚えることは好きだ。


私が、仕事のために家でたくさん勉強をしたり、資格を取ったりすることで、私の期待通り母は多少は安心してくれるようになった。
相変わらず、私のオタク趣味にちょいちょい物申してくることはあったけれど、そういう時は、勉強する。勉強することで、母は私に安心してくれる。なにより、勉強する姿を見せることで、休日に家に引きこもっていてもなにも言われない。一石二鳥だった。


そんな生活を、社会人になってからずっと続け、八年。気づけば知識は膨大に増え、資格の数も、同年代の社員と比べると圧倒的に多くなっていた。

知識が豊富になったから、ほかの支店の社員からも、『事務取扱要領を読むよりも、井原さんに聞いた方が早いから』と言われ、私宛てに内線が掛かってくることが増えた。


そして先日、私は支店長に会議室に呼び出された。


それは、係長昇進への打診だった。
< 5 / 142 >

この作品をシェア

pagetop