現状報告!オタク女子ですが、エリート上司に愛されてます。
「そう、ですか」

「まあ、隣の部屋にいるだけで緊張して寝つけないんだから、同じベッドで寝る、なんて絶対無理だと思ったけどね」

「え、それならなんで『いっしょに寝よう』なんて言ったんですか」

「すぐ側にいたかったから。ほかに理由なんてある?」

なんのためらいもなく紡がれるその言葉に、私の顔がボッと熱くなる。


「あ。今のは沙代を困らせるつもりは全然なくて、質問に対して思ったことを答えただけなんだけど、ごめん」

「あ、だ、大丈夫です。謝らなくていいです」

だけど、心臓のドキドキは収まらなくて、今夜は一睡もできそうにない。


「やっぱり隣の部屋、戻る?」

私の心中を察してか、志木さんがそう尋ねてくれる。その心遣いにうれしくなるけれど。


「……ここで寝ます」

私はどうして、そんなふうに答えてしまったんだろう?


……すると。


「沙代」

突然、名前を呼ばれて、またしてもドキッと心臓が跳ねる。


「な、んですか?」

「なにもしない、って言ったけどさ……」

「え?」

「約束、破ってもいい?」

え……え?


それって、もしかして……。
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