現状報告!オタク女子ですが、エリート上司に愛されてます。
変な想像をしてしまい、思いっきり、”それはダメです!!”と答えようとした、その時。


――ギュ。

「えっ?」

突然、布団の中で、彼に右手を握られた。


「眠れるまで、こうしてていい?」

甘く、囁くような声でそう尋ねられれば、緊張と動揺は免れない。


「こ、こんなことされたら、ますます寝られなくなります!」

「うん。俺も寝られないだろうな」

「だ、だったらなんで」

「どうせ寝られないんだったら、触れ合っていたい」


……握られた手から、彼のまっすぐな気持ちが言葉以上に伝わってくるようで、ダメとは言えなかった。


でも、なんでだろう。
手を握られたりして、心臓が壊れそうなほどにドキドキする……と思ったのに。

触れ合った指先が温かくて。
そのまま、心まで温かくなるような気がして……。

安心、する。
そうか、志木さんといっしょにいると安心するんだ。
それはきっと、彼がいつもまっすぐに気持ちを伝えてくれるから。

志木さんと付き合ったら、きっと不安になることなんてないんだろうな。
オタクだから嫌われるかも……なんて考えなくてもいいんだろうな。

ありのままの私を、ずっと好きでいてくれるのかも。


そう思ったら、うれしくなって。心が、軽くなった気もして。


(ん……眠くなってきた……?)

私はいつの間にか、自然と瞼を閉じていた。
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