現状報告!オタク女子ですが、エリート上司に愛されてます。
「こ、これは違います。どちらかというと、華奢な体型という設定なので」

って。私もなに真剣に答えているんだろう。


「これは絵も話も、沙代が描いてるの?」

「……そうですけど」

「このふたりは恋人関係なの?」

「まだ恋人関係では……って、勘弁してくれませんか」

そう言って、私は顔に宛てていた両手を離した。
だけど、それと同時に、その場に崩れ落ちるように座りこむ。そのまま項垂れて、自分の太ももだけを見つめる。

自分の描いたBL漫画について質問攻めって、これなんていうプレイ? 鬼畜プレイ? 羞恥プレイ?
そもそも志木さんは、どんな気持ちで……


「どんな気持ちでそんなこと聞いてくるんですか」

湧いた疑問を、そのまま彼にぶつけてみる。

すると、彼は。


「どんなって。うーん、沙代のことならなんでも知りたいっていう感情」


そう言われ、胸がドキン……

とはならず。


「それがBLのことでも?」

という疑問の方が強く湧いた。

でも志木さんは。


「そうだよ」


相変わらずまっすぐに、そう答えるから。


もう。自分がなに言ってるのかわかってるの? イケメンで仕事できて女性からモテモテの男性が、そんなこと言っちゃダメでしょう?

そう思うのに、今になってうれしさがこみ上げてきた。
あとは、なんか単純におもしろくて。


「志木さんって、もしかしたらちょっとバカなんですかね?」

思わず、そんなことを言った。
つい、彼が上司であるということを忘れて発してしまった言葉だった。

……もしかして今、彼のこと、上司じゃなくて恋人として……見てたのかな?
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