現状報告!オタク女子ですが、エリート上司に愛されてます。

次の日曜日。


「このファミレス?」

「はい。もうみんないるのかな……?」

私は志木さんといっしょに、これからオフ会を行なうファミレスの前に来ていた。

主催者のTaka★さんには、志木さんもいっしょに行くということはちゃんと説明してある。Taka★さんは良い人で、即、OKと言ってくれた。

Taka★さんは、やさしくて大らかな印象のある男性。好きなアニメもいくつか被っていて、話しやすい存在。
年齢は私より上で、確か志木さんと同い年だったはず。


「もう中入る?」

「そうですね、とりあえず中に……」

そう言いかけた時、後ろから、


「サヨコちゃん?」


と声をかけられる。


振り返ると、そこには長身で茶髪の男性が。


私のことをサヨコと呼んだということは……。


「Taka★さんですか?」

私がそう尋ねると、彼はニッコリと笑って。


「そうっす! 良かった、やっぱりサヨコちゃんだ! 俺のイメージ通り、かわいいね〜」

「えっ、いや、かわいいとか、なに言ってるんですか……!」

お世辞だとはわかっているのに、恥ずかしくてついそんな反応をしてしまった。


Taka★さんは、「あはは、本当だよ〜」と笑いながら話す。

明るい人だな、と感じた。
志木さんはどちらかといえばクールなタイプだから、彼とは対照的と言えるのかも。

……でも。

「サヨコちゃん、せっかくだから初対面記念に握手しよ!」

「え?」

「はい、握手ー♪」

彼はやや強引に私の手を握り、笑いながらそう言った。

思ったよりチャラい感じもするなあ。もう少し大人な男性だと思っていたんだけど。



すると、志木さんが、

「サヨコ?」

と、私に尋ねてきたので、私は説明をした。


「サヨコというのは、私のハンドルネームです」

「ハンドルネーム?」

「え、ウソ、そこからですか? ハンドルネームというのは、ネット上で使っている名前のことです」

志木さん、仕事のことならなんでも知っているのに、ハンドルネームを知らないとか。よっぽどSNSとかやらないんだろうなあ。
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