現状報告!オタク女子ですが、エリート上司に愛されてます。
「志、志木さんっ。こんなところで……」

「誰も見てないよ」

そ、そうだろうか!?
確かに、人通りはそこまで多くはないけど、さっきから何人かは通りすぎていっているよ!? 絶対、私たちの方見てるよ!?


「ダ、ダメですっ」

私は必死に彼から身を離した。嫌というわけではなかったけど、恥ずかしすぎてたまらなかったから。

すると彼は。


「ごめん。だって、沙代があまりにかわいい顔で見てきたから」


か、かわいい顔……?

私、本当にいったいどんな顔をしていたの……!?


「……ねぇ、沙代」

志木さんが、ふと真剣な表情になって、私を見つめてくる。


「なん、ですか?」

「俺のこと、好きになってる?」

「っ!」

直球で、まさかの質問。顔が、ボッと熱を帯びる。


だけど。



「……はい」

もう、自分の気持ちはごまかせない。ごまかしたく、ない。


すると彼は、



「……マジで?」

そう言って、くしゃっと笑った。


いつもクールな志木さんの、子どもみたいな笑顔にまた心臓が高鳴る。


そして、彼は。



「人の目線が気になるみたいなこと、さっき言ってたけどさ」

「え? あ、はい」

「人から見えなければ大丈夫?」

「?」

彼の質問の意味がわからず、私は首を傾げる。


すると彼は、肩にかけていたショルダーバッグを外し、私の顔の横に持ってくる。

私たちを横切る人からは、私の顔は見えない……


そう思った、瞬間。



私の唇に、志木さんの唇が触れた。
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