恋愛対象外だから!【おまけ追加】
「あら?あなたも余裕ね。
私のところに1人で来るなんて。」
「余裕なんてないです。…あたしは椎名から離れることなんて出来ません。
あたしが椎名から離れたくないから。」
気に食わなそうな顔であたしを見つめた。
それもそのはずだと思う。
「本当に性格だけは遙君に似てる。
とりあえず、こんな所で話するのもあれだし場所を変えましょうか。」
そう言われ、付いて行く。
雨がポツポツと降り始めてきた。
あの日と一緒だ。
歩道橋の階段を上がったところで菊川さんが止まった。
「私ね、あなたが嫌いなの。
あなたさえいなくなれば…いいの。」
「菊川さんの考えはどうかと思います。
あたしが消えたところで別に今と状況は変わるわけでもないしはるちゃんはあなたの事を好きになんかもならない。」
この人の考えは本当に稚拙だ。
駄々をこねれば何でも手に入るなんて思っているタイプだと思う。
「はるちゃんに振り向いてもらえないからといってあたしの家族を傷つけたことは許しません。それにはるちゃんは物じゃない。」
「…そんなこと、あなたに何がわかるって言うのよ!」
そう言われて押された。
あたしの後ろにあるのは階段。
それに雨が降っているから滑りやすい。
「遙君は昔からあなたのことを溺愛していた。…あなたがいなかったら全てが上手くいっていたはずだったのに。」
と、今度は思いっきり押された。
その瞬間、体がフワッと浮いて体が下に落ちていく。
ズキッと痛みがした後、あたしは意識を失ってしまった。