夏の香り
黒い煙が消えて、輪郭がぼんやりと浮かんできたとき、

「大丈夫ですか?」

頭上から声がした。


ゆっくりと見上げると、柑橘爽やか青年がそこにいた。

「あ、大丈夫なんで……。」

そう言ってうつ向く。

大丈夫じゃないことくらい分かっていたけど、人様に迷惑なんかかけられない。

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