夏の香り
ふと、柑橘系の香りが鼻を掠めた。


前を見ると大きな背中があった。
彼は手を後ろに広げている。


「乗って。歩けないでしょ?こんなところいたらもっと具合悪くなるし。」

「でも……。」

「早く。」

急かしている感じではなく、優しい口調だった。

私はその好意に甘える事にした。

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