※雪や嵐の日はくる※
あーあ、このままずっと高校生でいたい。
ふざけてるみたいだけど、これは切実な願い。
「ね、ちょっと蘭!聞いてる?」
「ん?あー……
ごめんぜんぜん聞いてなかった、何?」
「もー!だからー、佐々木くんのこと!」
ああ、そのことか。
好きだねみんな、佐々木くんがっていうか、
イケメンが。
「あー、もうだから佐々木くんのことは
私も知らないって。
確かに家は隣同士しだけど、
あの人、小さい頃から病気がちでほとんど遊んだりしなかったし、幼稚園も小学校も中学もずっと別だったし。」
これ、前にも言ったんだけどな。
「そっかーそうだよねー」
「でも気になるー!!」
「もう直接、本人に聞いちゃおうよ~」
「え~でもそれはやばくない?」
「あーでもでも、山田たちに聞いたんだけど、本人に聞いても教えてくれないんだってー」
「え~なにそれますます気になる~!」
「いやでもやっぱり秘密だからこそよくない?」
「わかる!!!」
「雨の日だけ学校に来ないなんて
ミステリアスだよね!」
雨の日だけ学校を休む佐々木くん。
考えれば……というか、
考えなくても分かるだろうが、
彼女たちが本当にしたいのは、
佐々木くんの秘密の解明ではなく、
単なるうわさ話。
本当は佐々木くんがどうだってかまわないんだ。
かくいう私も、うわさ話は嫌いじゃない。
少なくとも、よく知らないお隣さんの謎を解き明かすことよりは楽しそうだ。