卑屈な心に触れてみて
人数合わせ
「それでさ…茜にお願いしたい事があるんだけど」
「なに?」
私____河西 茜 (カサイ アカネ)の前で手を合わせているのは、親友の早川 菜々子 (ハヤカワ ナナコ)。
私は”ナナちゃん”と呼んでいる。
おしゃれなカフェに呼び出してまで、”お願いしたい事”とは、一体何なのか。
「合コン…参加してくれない?」
「…は、」
(合コン…?)
合コン…きっとあれだ。女がキャピキャピしてる…
そんなのに参加しろだなんて、ナナちゃんは何を考えているのか。
「…そういや茜、男苦手だったよね。ごめん」
ナナちゃんは手を合わせるのを止めて、しょんぼりとしながらアイスティーのストローに口を付けた。
いきなり合コンだなんて、と思ったけれど、参加するのは嫌じゃない。
「行くよ、合コン」
「…ほんと?」
私が言えば、ナナちゃんは目を輝かせた。
どうせ人数合わせなんだから、行っても良い。
適当に美味しい物でも食べて、ぼーっとしていれば…。
「ありがと茜!…お礼に、ココのお代全部払ってくから」
「悪いね、なんか…」
「いいのいいの!それより、茜もさっさといい男見つけなよ〜?」
「え…私はいいよ」
だって、ブスだし。
ナナちゃんみたいに、美人じゃないし。