卑屈な心に触れてみて
私の癖で、心の中で自分を卑下していると…
「茜、また自分の事ブスとか思ってた?」
ナナちゃんは、呆れ顔をして言った。
「お…思ってた…」
妙に鋭い問いに、私は頷くしかなかった。
「あんたねぇ、見られる顔してんだから自信持ちなさいって…」
見られる顔と言われた時点で、遠回しに、”可愛くはない”と言われた気がする。
悪気はなさそうなので、黙っておくが。
「ナナちゃんは美人だよ」
「…そう?ありがと」
ナナちゃんは目を細めて笑った。
それは同じ女から見ても可愛らしくて、正直言うと羨ましい。
「世の中には、ゲテモノ顔の子だっているんだから」
ゲテモノ顔___例えが酷くて笑いそうになったが、私は間違いなく、笑える立場には居ないだろう。
「…そういえば」
「ん?」
何となく気になった事を尋ねる。
「合コン、他に誰が来るの?」
「そっか、まだ言ってなかったね。他に来るのは、天野(アマノ)先輩グループ…分かるよね?」
「分かる」
あのグループは苦手だ。…特に、リーダー格の天野 暁美 (アマノ アケミ)先輩。
前に”彼氏からの贈り物”と、他の先輩や私達に、ドヤ顔で素敵な腕時計を見せびらかしていた。
合コンに参加するのなら、彼氏と分かれたか、そもそも”彼氏がいる”と言うのは嘘だったのだろう。
…因みに私は、後者の方と睨んでいる。
天野先輩が苦手な理由を挙げるとするならば、自分の気に入った者以外には、酷い仕打ちをするという様な所だろうか。(自分のミスを他人のせいにしたり)
ナナちゃんは天野先輩に気に入られているため、そのような事はないはずだ。ところが、私はとても嫌われていて、コソコソ陰口を叩かれる。
その事実を、ナナちゃんが知る事はないであろう。
「男子軍はねぇ…って、茜…聞いてる?」
「あ、ごめん。なんの話だっけ?」
「男子軍の話」
「あぁ、そっか。ぼーっとしててごめんね。続けてもらえる?」
ナナちゃんは「おーけー」と頷き、口を開いた。
「一条先輩と、その友達が来るって!」
「…へ?」
(何故、一条先輩…?)
一条 知真 (イチジョウ カズマ)___俗に言うイケメンで、金持ちの家に生まれた…らしい。