松田先生オシエテ.
先生の車の中は
シトラスの香りが漂っていた。


何を話すというわけでもなくて
終始無言だった。


「ありがとうございました」


1言お礼を言い、
車のドアを開けた。


「木下、宿題だ」



宿題?


「せんせ、宿題は数学と漢─」


あたしが言い終わらない内に


そうじゃない。という声が
聞こえてきた


「今日は、水曜日、だよな?
明日と明後日で友達を作れ」


「は?」


何言ってんの、この人。


あたし、友達いらないって
言わなかったっけ。


「いいから、作れ。分かったな」


そう言うと先生は


また明日な。と車を走らせていった
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