松田先生オシエテ.
「木下、」


「はい」


放課後またあたしは呼び出された。


「友達、作ったか?」


「いいえ」


即答するあたしに対し
松田先生は



「どうしてだ?宿題だ、と言っただろう」


少し困った様な顔で言った。
そんな顔も女子から人気なんだろうなと考えた。


「先生は、」


「何だ?」


「先生は、あたしにどうしろと言うんですか?」


「ただ友達を作って高校生活を楽しんでほしいだけだ。友達って、必要だと俺は思うんだよ。辛い時、悲しい時、手を差し伸べてくれる人は誰だと思う?木下」


「家族だと思います」



うんと頷き


「家族と友達だ」


家族と友達…?


「友達っていうもんは、一生に一度しか作れねえんだよ。高校で出来た友達も、3年間過ぎればバラバラになっちまう。だからまた新しい土地で、新しい環境で仲間という存在を作るんだよ」



新しい、仲間。



「信じていいの?」


新しい土地で新しい環境で
仲間という存在を作る─
先生のその言葉信じていいの?


ニヤリと口角を上げ



「信じてみろよ、この俺を」



松田先生はそう言ってくれた。




先生のその言葉に
あたしの人生というものを
賭けてみようと思った瞬間だった
< 7 / 60 >

この作品をシェア

pagetop