私が輝ける場所





「んっ……………ここ、は…」



保健室のベッドに前田さんを寝かせて数十分。


どうやら保健の先生は出張でいないらしい。


好都合だ…きっと、前田さんも見られたくはないだろうし…





目を開けた前田さんは混乱しているようだ。




そのせいか私にも気づいていない




そりゃそうか…自分はいじめられてて、気を失ったのに

目を開ければそこは保健室なんだから



私はなるべく優しく言った






「保健室……前田さん倒れたでしょ。連れてきた」






はずだった……だが何でそんな怯える……


いや、私が怖くて怯えてるのか?…

それとも私が次に狙われるかもって思って罪悪感を感じてるのか…?




案の定震えた声で怯えたように声を発する少女





「…んで、……なんで…たす、けた…の?………貴方が狙われ、ちゃうよ……グスッ」







「…別に。私は怖くないし。………てか、泣かないで、めんどくさいでしょ」





「ッ、ごめんッ………ごめんねっ……」



あぁもう……



ぎこちなく、でもしっかりと、優しく……そう優しく私は彼女の頭を撫でた。





そして優しい口調でいう






「体、大丈夫…?辛かったね……」




そう言うと“ありかまとう”…と、静かに、綺麗に彼女は笑った。



あぁ、初めて、初めて彼女の本当の笑顔を見た気がした。




そして気づいてしまった。


確かに曲がったことは嫌い。でもめんどくさい事はもっときらい……




だからこそ関わらないようにしてきた


ずっと傍観者として過ごしてきた





だが今日、助けてしまった。




そして知った。



わたしは…


私は確かにめんどくさいと思った…でも




首を突っ込まなかった一番の理由は────


“怖いからだ“


と────




私も結局は、他のヤツらと同じなのだと…






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