あなたに恋心~handlingーWarning??【完】
**まさか
***
エントランスに入った董坂が、壁に寄り掛かったまま寝ている人影にピクッとする。
アーミージャンパーにデニム、ハイネック姿で、マスクをしていた。
「…あっ」
電話したことをすっかり忘れて、病院に行っていたのだ。
「…お姉さん??えっと、橘…さん??」
確か名札にそう書いてあった。
かれこれ2時間ここでこうしていたのか。その間、誰も来ていないようだ。
まだ人の気配はない。
呆れたけれど、ふと、覗き混んだ董坂。
―――可愛い…
思ったとき、体が勝手に動いていた。
―――そっと。
眠ったままの唇に、触れていた。