あなたに恋心~handlingーWarning??【完】
「こうすればわかるかな」
手で髪を掻き上げておでこを出し、眼鏡を外して見せた。
ダテ眼鏡のようだ。
「洸亮さん…」
5年前に今のバイト先で半年だけ一緒になって、親しくしていた蕨洸亮(ワラビ コウスケ)さん。
お家の都合で家族で引っ越しして、離ればなれになってから連絡も取ってなかった。
当時、髪を上げていた顔しか覚えていし、雰囲気も随分変わっていた。
ましてやこんなところで偶然再会するなんて思わない。
わからなくても無理はない。
同い年でもどことなく大人びていたから、くん、ではなく、さん付けで呼んでた。
普通に親しかったのは親しかった。
当時の同じバイトの女子は夢中になって、同じシフトに入りたがったり、プレゼント攻撃してたみたいだけど。
ただ真面目に仕事目的にしていた私は、ガツガツしてないせいか、同性みたいに仲は良かったけど。
なんとなく気は合った。
楽しかったけど。
私にとっては顔も忘れるような、その程度の関係。
のはず。