あなたに恋心~handlingーWarning??【完】


「こうすればわかるかな」


手で髪を掻き上げておでこを出し、眼鏡を外して見せた。
ダテ眼鏡のようだ。


「洸亮さん…」


5年前に今のバイト先で半年だけ一緒になって、親しくしていた蕨洸亮(ワラビ コウスケ)さん。


お家の都合で家族で引っ越しして、離ればなれになってから連絡も取ってなかった。


当時、髪を上げていた顔しか覚えていし、雰囲気も随分変わっていた。


ましてやこんなところで偶然再会するなんて思わない。
わからなくても無理はない。


同い年でもどことなく大人びていたから、くん、ではなく、さん付けで呼んでた。


普通に親しかったのは親しかった。
当時の同じバイトの女子は夢中になって、同じシフトに入りたがったり、プレゼント攻撃してたみたいだけど。


ただ真面目に仕事目的にしていた私は、ガツガツしてないせいか、同性みたいに仲は良かったけど。


なんとなく気は合った。
楽しかったけど。


私にとっては顔も忘れるような、その程度の関係。
のはず。



< 26 / 107 >

この作品をシェア

pagetop