あなたに恋心~handlingーWarning??【完】
***
「………う…」
ベッドで気が付いた董坂。
布団が掛けられ、横になっている。
自力で入った覚えはない。
とすると。
同じ室内とはいえ、橘さんがあの小さな体で運んでくれたのか。
「……どこに…??」
「にゃあ」
と、
仔猫がソファに置いたままのリュックに呼び掛けるように鳴いた。
荷物はここにあるよ、と言っているようだ。
「…ああ、ハナ、おいで」
ハナと呼ばれた仔猫がぴょん、とソファからベッドに飛び移る。
起きようとしたけれど、気分が悪い。くらくらする。
枕元の薬を探り取ると、なんとか起き上がって台所に行く。
「ハナのごはんはあげてくれたのか。じゃあ、何か買いに行ってくれたのかな」
とりあえず蛇口を捻ると水を汲んで粉薬を飲む。
「胃薬もあるとはいっても空腹はまずいな。そこのコンビニか。見に行こう…ああ」
体を引き摺るように玄関を出た。
そして。
見てはいけないものを、いや、見る必要のないものを見てしまった。
エントランスのガラス越しに。
何かを話しながらタクシーに乗り込む心花と、記憶の片隅に覚えのある若い男―――。