あなたに恋心~handlingーWarning??【完】
その声は、いつもの人だ。
この半年くらい、週に何度か見掛ける、こちらも30歳後半くらいのいかついお兄さん。
ただ、作業着のお兄さんより更に頭ひとつ分は高い。無造作にセットした髪。わりとがっしりした体型。白っぽい縁のインテリ眼鏡。
「急いでるんなら外で買うか隣のレジに行ったらどうですか??毎度毎度」
「なんだと!?」
言って振り向くけれど、自分より強そうな相手と見ると、舌打ちして黙る。
ブスッとしたままお会計を済ませて立ち去った。
「急いでるのは大体誰でも同じです。気にすることないですよ。わざとかも知れませんしね」
「……わざと??」
キョトンとする私。
「いや、なんでも。これをください」
この人はお握り2個と烏龍茶。たまに猫のおやつ。
「ありがとうございました」
猫、飼ってるのかな。
そんなこと、ただのお客様に世間話程度にも聞けるはずもない。
まずは会話より仕事の手を早くしなければ。