あなたに恋心~handlingーWarning??【完】
「待ちなさ―――い!!!」
「なっ、なんだ???」
高台に隣接する閑静な住宅街の、緩やかな坂道の広めの歩道を、物凄いスピードで下りてきた心花。
そのままの勢いで董坂を通り越すと、あっという間に引ったくった自転車に追い付く。
「……早え…」
高校の制服。
前かごに入っていた学校指定のスポーツバッグを、力任せにその背中に投げ付けた。
「返しなさい!!私の財布!!」
「痛ってえ!!」
思わずアタッシュケースを取り落とし、ブレーキを掛けたけれど弾みでバランスを崩した男は、自転車から滑り落ちた。
「何しやがんだこのクソガキ!!」
男が心花に手を掛けようとした。
「それはこっちの台詞です。返してもらいますよ、僕の鞄」
何とか追い付いて、背後から男の腕を捻り上げた董坂。
「…ああ、…よかったですね」
息を切らせて上げた顔を見た董坂に、何かの矢が刺さった。
彼女の姿が、なぜかキラキラと輝いて見えた。
けれど、ブルブルブルっと頭を振った。
いやいや、俺は決してロリコンな訳じゃない。
―――どう見ても、高校生だよな………。