幼馴染以上恋人未満
悲しみから逃れたくて
このみ -side-
あの日、志樹と初めて身体を重ねた日。
私は処女を失った。べつにそれが悲しいわけじゃなかったし、逆に私の初めてが志樹で嬉しかった。
だけど、こんな身体だけの関係を始めないかと言われた時はどうしようかと迷った。
…...ううん。正直断ろうと思った。確かに私は彼のことは好きだし、好きな人に抱かれるのに嬉しくないはずがない。
でもね、気持ちのない行為はある程度満たされても、心は満たされることはなかった。
だから断ろうと彼の方を見つめた時、私は開かけていた口を閉じた。
理由は私を見つめる志樹の目がなぜかとても真剣だったからだ。
その真剣な瞳に私は気づいたら頷いていた。
あの時どうして志樹が、あんなに真剣な目をしてたか分からなかったけど…
今はなんとなく納得してる。