君の手で
どうしようもない……
空が赤く染まった放課後、机に突っ伏している1人の男子が居る。
彼の名前は芦屋正一(あしやしょういち)。
極度に弱気な性格を除いては極々平々凡々などこにでも居るような少年だ。
教室の扉がガラッと音を立てて開く。
「しょーいちー!帰るよー」
正一はか細い声で「ひっ!」と小さな悲鳴をあげた。
さらっとした美しい黒髪をなびかせて正一に駆け寄る少女は斎藤詩織(さいとうしおり)。
彼女は正一の幼なじみというよりは悪友と言った方が正しい。
「1人で帰るからいいよ……」
正一は断ったが詩織は彼の腕を掴んで無理矢理一緒に帰ろうとする。
正一が抵抗してそうこうしているとクラブ活動が終わった生徒達がガヤガヤと騒ぎながら教室に戻ってきた。
その様子を見た彼らは正一と詩織を囃し立てる。
詩織は正一を掴んでいた右手を離し、左手の薬指を右手の親指と人差し指で作った輪で囲み、私達婚約してるからと冗談めかして笑う。
彼女のその笑顔が落ちていく夕陽に照らされ頬が赤みがかってるように見えた。
正一は照れ臭いやら恥ずかしいやらでいたたまれなくなり、教室から走って出ていった。
詩織は彼を追いかけようともせず、彼らと談笑している。
彼らも詩織がそういう冗談に抵抗がないことを知っていたのでいつものことと誰も気にも止めずに馬鹿話を続けている。
下校時刻間近の校内放送が流れたので詩織達は馬鹿話を切り上げて一斉に教室から出ていった。
詩織は家に着くなり自室へ飛び込むと恥じらいもなくベッドに仰向けになり携帯を制服のポケットから取りだし、メール画面を開いた。
ちゃっちゃとメールを打ち、正一にメールを送る。
一方の正一は食事中だったがメールが開いてあまりの驚きに吹き出してしまった。
メールには今日を事は約束したからね!の文字の横にあかんべーの顔文字が添えられていた。
それだけならまだ耐えられたが、ウィンクした詩織の自撮り写真が画像として添付されていたので正一の我慢袋が破けてしまったのだ。
正一の母はそのメールを見て約束って何?と興味津々で聞いてきた。
彼は素直に今日のことを話すと正一の母はけたたましい声で大笑いする。
彼女の意見は詩織ちゃんは優しいし、美人だし、明るいしで良いことしか無いんだから貰えるんなら今のうちに貰っておきなさいということだった。
彼の名前は芦屋正一(あしやしょういち)。
極度に弱気な性格を除いては極々平々凡々などこにでも居るような少年だ。
教室の扉がガラッと音を立てて開く。
「しょーいちー!帰るよー」
正一はか細い声で「ひっ!」と小さな悲鳴をあげた。
さらっとした美しい黒髪をなびかせて正一に駆け寄る少女は斎藤詩織(さいとうしおり)。
彼女は正一の幼なじみというよりは悪友と言った方が正しい。
「1人で帰るからいいよ……」
正一は断ったが詩織は彼の腕を掴んで無理矢理一緒に帰ろうとする。
正一が抵抗してそうこうしているとクラブ活動が終わった生徒達がガヤガヤと騒ぎながら教室に戻ってきた。
その様子を見た彼らは正一と詩織を囃し立てる。
詩織は正一を掴んでいた右手を離し、左手の薬指を右手の親指と人差し指で作った輪で囲み、私達婚約してるからと冗談めかして笑う。
彼女のその笑顔が落ちていく夕陽に照らされ頬が赤みがかってるように見えた。
正一は照れ臭いやら恥ずかしいやらでいたたまれなくなり、教室から走って出ていった。
詩織は彼を追いかけようともせず、彼らと談笑している。
彼らも詩織がそういう冗談に抵抗がないことを知っていたのでいつものことと誰も気にも止めずに馬鹿話を続けている。
下校時刻間近の校内放送が流れたので詩織達は馬鹿話を切り上げて一斉に教室から出ていった。
詩織は家に着くなり自室へ飛び込むと恥じらいもなくベッドに仰向けになり携帯を制服のポケットから取りだし、メール画面を開いた。
ちゃっちゃとメールを打ち、正一にメールを送る。
一方の正一は食事中だったがメールが開いてあまりの驚きに吹き出してしまった。
メールには今日を事は約束したからね!の文字の横にあかんべーの顔文字が添えられていた。
それだけならまだ耐えられたが、ウィンクした詩織の自撮り写真が画像として添付されていたので正一の我慢袋が破けてしまったのだ。
正一の母はそのメールを見て約束って何?と興味津々で聞いてきた。
彼は素直に今日のことを話すと正一の母はけたたましい声で大笑いする。
彼女の意見は詩織ちゃんは優しいし、美人だし、明るいしで良いことしか無いんだから貰えるんなら今のうちに貰っておきなさいということだった。