次期国王は初恋妻に溺れ死ぬなら本望である
「ふふっ。ディルにそんなふうに言ってもらえるなら、軟禁されるのも悪くないわね」
「ーー馬鹿っ」
「本当よ」
形だけの妻としての役割も果たせなかった自分をディルは妻だと言ってくれた。これ以上に嬉しいことがあるだろうか。
プリシラはおずおずとディルの背中に手を回すと、きゅっと力をこめて抱きしめ返した。そのまま、彼の胸に顔を埋めて、小さな声でささやく。
「ディル。ひとつだけお願いがあるの。絶対にイエスと言ってくれる?」
「それはお願いの内容次第だろ」
「ダメ。絶対にきいてくれると約束してくれなきゃ、話せないわ」
「卑怯だな」
「その通りよ」
ディルは呆れたと言うように、ため息を落とす。
「‥‥わかったよ。まぁ、お前のお願いを断れないのは昔からだ」
プリシラは上目遣いにディルを見上げた。ゆっくりと口を開く。
「‥‥私を、ディルの本当の妻にして。一度だけでいいの」
こんなお願いを、女の自分から口にするなんて、ひどくはしたないことだ。ディルは呆れるだろか。
(でも、軽蔑されたとしてもいい。どうしても伝えたい思いがあるんだもの)
「子どもの頃から、ずっとずっとディルが好きだったの。振られても、フレッドとの婚約が決まった後も、私はあなたしか見てなかった」
ディルはぽかんと口を開けて、心底驚いたという顔をしている。
「ーー俺を好きって‥‥お前が⁉︎」
「そうよ。ディルは鈍くて、気づいてなかったかもしれないけど!」
「いや、フレッドは?フレッドにふさわしい女になるっていつも言ってたじゃないか」
「そういうしかないじゃない!あなたには振られて、自分の気持ちなんて関係なしにフレッドとの婚約も決められて。フレッドを好きになろうと努力はしたのよ。でも、どうしても‥‥ディルへの思いは消せなかった」
「ーー馬鹿っ」
「本当よ」
形だけの妻としての役割も果たせなかった自分をディルは妻だと言ってくれた。これ以上に嬉しいことがあるだろうか。
プリシラはおずおずとディルの背中に手を回すと、きゅっと力をこめて抱きしめ返した。そのまま、彼の胸に顔を埋めて、小さな声でささやく。
「ディル。ひとつだけお願いがあるの。絶対にイエスと言ってくれる?」
「それはお願いの内容次第だろ」
「ダメ。絶対にきいてくれると約束してくれなきゃ、話せないわ」
「卑怯だな」
「その通りよ」
ディルは呆れたと言うように、ため息を落とす。
「‥‥わかったよ。まぁ、お前のお願いを断れないのは昔からだ」
プリシラは上目遣いにディルを見上げた。ゆっくりと口を開く。
「‥‥私を、ディルの本当の妻にして。一度だけでいいの」
こんなお願いを、女の自分から口にするなんて、ひどくはしたないことだ。ディルは呆れるだろか。
(でも、軽蔑されたとしてもいい。どうしても伝えたい思いがあるんだもの)
「子どもの頃から、ずっとずっとディルが好きだったの。振られても、フレッドとの婚約が決まった後も、私はあなたしか見てなかった」
ディルはぽかんと口を開けて、心底驚いたという顔をしている。
「ーー俺を好きって‥‥お前が⁉︎」
「そうよ。ディルは鈍くて、気づいてなかったかもしれないけど!」
「いや、フレッドは?フレッドにふさわしい女になるっていつも言ってたじゃないか」
「そういうしかないじゃない!あなたには振られて、自分の気持ちなんて関係なしにフレッドとの婚約も決められて。フレッドを好きになろうと努力はしたのよ。でも、どうしても‥‥ディルへの思いは消せなかった」