次期国王は初恋妻に溺れ死ぬなら本望である
ミレイア王国暦☓☓☓☓年 フレッド殿下失踪事件
王太子であったフレッド殿下が自身の結婚披露パーティーの夜に失踪した。当初はフレッド殿下自身の意思による逃亡かとも思われたが、真相は王妃ルワンナによる暗殺未遂事件であった。
主犯のルワンナ、実行犯で事件の露見後に逃亡をはかろうとしたナイードはともに投獄され、重い処罰を受けた。
なお、フレッド殿下は王都警備隊により救出はなされたものの、衰弱が激しく、生きて王宮に戻ることは叶わなかった。彼の遺体は王家の墓に丁重に葬られた。
国の公式記録には以上の事柄のみが簡潔に記され、国民にも同様の説明がなされた。
フレッドの秘密、ザワン公爵の罪については、沈黙が守られる形となった。これは裏切られていた張本人である国王陛下の判断であった。
事件後、病床の陛下にだけはすべての事実が告げられていた。
陛下は私室に呼び寄せたディルとプリシラをじっと見据え、ゆっくりと口を開いた。
「ルワンナが馬鹿なことをした。すまなかったな。フレッドのことは……おそらくそうだろうとは思っていた。だがな、どうでもよかった。あれはオレの息子だ。このミレイア王国の王太子だ」
フレッドと血の繋がりがないこと、陛下は気がついていたのだ。その上で、フレッドを息子だと言い切った。
陛下の思いを受けとめ、ディルは力強くうなずいた。
王太子であったフレッド殿下が自身の結婚披露パーティーの夜に失踪した。当初はフレッド殿下自身の意思による逃亡かとも思われたが、真相は王妃ルワンナによる暗殺未遂事件であった。
主犯のルワンナ、実行犯で事件の露見後に逃亡をはかろうとしたナイードはともに投獄され、重い処罰を受けた。
なお、フレッド殿下は王都警備隊により救出はなされたものの、衰弱が激しく、生きて王宮に戻ることは叶わなかった。彼の遺体は王家の墓に丁重に葬られた。
国の公式記録には以上の事柄のみが簡潔に記され、国民にも同様の説明がなされた。
フレッドの秘密、ザワン公爵の罪については、沈黙が守られる形となった。これは裏切られていた張本人である国王陛下の判断であった。
事件後、病床の陛下にだけはすべての事実が告げられていた。
陛下は私室に呼び寄せたディルとプリシラをじっと見据え、ゆっくりと口を開いた。
「ルワンナが馬鹿なことをした。すまなかったな。フレッドのことは……おそらくそうだろうとは思っていた。だがな、どうでもよかった。あれはオレの息子だ。このミレイア王国の王太子だ」
フレッドと血の繋がりがないこと、陛下は気がついていたのだ。その上で、フレッドを息子だと言い切った。
陛下の思いを受けとめ、ディルは力強くうなずいた。