次期国王は初恋妻に溺れ死ぬなら本望である
戴冠式はおごそかな空気の中、進んでいく。頭上に王冠を戴くその瞬間は、さすがのディルも少し緊張しているように見えた。
たったひとりで玉座に座る国王というのは、周囲が想像する以上に孤独なものだ。ディルの背中を見つめ、プリシラは決意する。
(私の生涯を、彼を支えることに捧げよう)
幼い頃からこの国の王妃になるため、努力を重ねてきた。その努力が、愛する人を支えるという最高の形で報われるのだ。こんなに幸せなことはない。
戴冠式の後は国王夫妻が馬車でシアンの街をぐるりとまわるパレードが企画されていた。国民と触れ合える数少ない貴重な機会ではあるが、国民からの人気や期待がはっきりとわかってしまうという残酷な一面もあった。
プリシラは少し心配だった。フレッドがとても人気だっただけに、国民はディルが国王となったことをどう受けとめているのだろうか。
馬車がゆっくりと動き出した。街頭の国民に向かって、ディルとプリシラはにこやかに手を振る。
すると、わぁ〜という予想以上の大歓声があがった。馬車が進むほどに、歓喜と熱狂が広がっていく。
「美男美女ね!なんて絵になる二人なのかしら」
「けど、呪われた王子なんだろ?大丈夫なのか?」
「いやいや、そんな予言をものともせず国王になられたんだ!かえって縁起がいいじゃないか」
「そうよ、そうよ。あんなに素敵な王様、見たことない!」
「めでたい、めでたい。我がミレイア王国は安泰だ!ディル陛下、万歳!万歳!!」
あちこちで新国王をたたえる声があがる。
「……みんな現金なんだから。嬉しいけど、なんだか複雑な気分だわ」
プリシラがぼやくと、隣でディルが苦笑した。
「まぁ、いいんじゃないか」
「そもそもあの予言はでっちあげだったのに、それくらいは公表したらいいのに」
フレッドの秘密を守ることはプリシラも賛成したが、ディルの予言の件まで黙っておくのは納得がいっていなかった。
たったひとりで玉座に座る国王というのは、周囲が想像する以上に孤独なものだ。ディルの背中を見つめ、プリシラは決意する。
(私の生涯を、彼を支えることに捧げよう)
幼い頃からこの国の王妃になるため、努力を重ねてきた。その努力が、愛する人を支えるという最高の形で報われるのだ。こんなに幸せなことはない。
戴冠式の後は国王夫妻が馬車でシアンの街をぐるりとまわるパレードが企画されていた。国民と触れ合える数少ない貴重な機会ではあるが、国民からの人気や期待がはっきりとわかってしまうという残酷な一面もあった。
プリシラは少し心配だった。フレッドがとても人気だっただけに、国民はディルが国王となったことをどう受けとめているのだろうか。
馬車がゆっくりと動き出した。街頭の国民に向かって、ディルとプリシラはにこやかに手を振る。
すると、わぁ〜という予想以上の大歓声があがった。馬車が進むほどに、歓喜と熱狂が広がっていく。
「美男美女ね!なんて絵になる二人なのかしら」
「けど、呪われた王子なんだろ?大丈夫なのか?」
「いやいや、そんな予言をものともせず国王になられたんだ!かえって縁起がいいじゃないか」
「そうよ、そうよ。あんなに素敵な王様、見たことない!」
「めでたい、めでたい。我がミレイア王国は安泰だ!ディル陛下、万歳!万歳!!」
あちこちで新国王をたたえる声があがる。
「……みんな現金なんだから。嬉しいけど、なんだか複雑な気分だわ」
プリシラがぼやくと、隣でディルが苦笑した。
「まぁ、いいんじゃないか」
「そもそもあの予言はでっちあげだったのに、それくらいは公表したらいいのに」
フレッドの秘密を守ることはプリシラも賛成したが、ディルの予言の件まで黙っておくのは納得がいっていなかった。