次期国王は初恋妻に溺れ死ぬなら本望である
「まぁ!珍しいこともあるものね」
ディルは堅苦しいものをなにより嫌う。いつかのようにルールを破ってふらりとプリシラの元を訪れることはあっても、正式なディナーのお誘いなどは絶対にないと思っていた。
「はい、明日の晩にディル殿下の宮へお越しいただけますでしょうか? プリシラ様の好物をご用意させていただきますので」
「明日の晩‥‥ということは‥‥」
「えぇ、ディル殿下の王太子就任の発表後になります。くわえて言えば、王宮内の人間にはおふたりの婚約も同時に発表される予定です」
ターナはにこりともせず、目を伏せた。
(ディルはどう考えているの?フレッドのこと、王太子就任、私との結婚‥‥話をしたいわ)
「お誘いはありがたくお受けしますと、ディルに伝えてくれる? もっとも、王太子殿下のお誘いを断る権利は私にはないでしょうけれど」
「ありがとうございます、伝えておきます。明日はミモザの宮まで迎えを出しますね」
プリシラは少し考えてから、思いきってターナに問うた。
「ねぇ、ターナはどう思ってる?今回のこと」
あえて砕けた口調にしたのは、友人としてのターナの意見が聞きたかったからだ。
「ディル殿下の王太子就任ですか?それともおふたりの結婚について?」
「うーん、両方聞きたいわ」
ターナは苦笑しながらも、質問にはきちんと答えてくれる。
「まず、僕はフレッド殿下は王位に相応しい方だと思っています。はっきり言って、ディル殿下よりずっと」
「それは同意するわ」
プリシラは大きくうなずいた。
「なので、フレッド殿下が無事に戻られるならそれが一番かと。ですが、そうでないなら‥‥」
ターナは一度言葉を止めた。そして、プリシラを見つめ、力強く言った。
「ディル殿下は立派な王太子、そして良き国王になられると思います」
ディルは堅苦しいものをなにより嫌う。いつかのようにルールを破ってふらりとプリシラの元を訪れることはあっても、正式なディナーのお誘いなどは絶対にないと思っていた。
「はい、明日の晩にディル殿下の宮へお越しいただけますでしょうか? プリシラ様の好物をご用意させていただきますので」
「明日の晩‥‥ということは‥‥」
「えぇ、ディル殿下の王太子就任の発表後になります。くわえて言えば、王宮内の人間にはおふたりの婚約も同時に発表される予定です」
ターナはにこりともせず、目を伏せた。
(ディルはどう考えているの?フレッドのこと、王太子就任、私との結婚‥‥話をしたいわ)
「お誘いはありがたくお受けしますと、ディルに伝えてくれる? もっとも、王太子殿下のお誘いを断る権利は私にはないでしょうけれど」
「ありがとうございます、伝えておきます。明日はミモザの宮まで迎えを出しますね」
プリシラは少し考えてから、思いきってターナに問うた。
「ねぇ、ターナはどう思ってる?今回のこと」
あえて砕けた口調にしたのは、友人としてのターナの意見が聞きたかったからだ。
「ディル殿下の王太子就任ですか?それともおふたりの結婚について?」
「うーん、両方聞きたいわ」
ターナは苦笑しながらも、質問にはきちんと答えてくれる。
「まず、僕はフレッド殿下は王位に相応しい方だと思っています。はっきり言って、ディル殿下よりずっと」
「それは同意するわ」
プリシラは大きくうなずいた。
「なので、フレッド殿下が無事に戻られるならそれが一番かと。ですが、そうでないなら‥‥」
ターナは一度言葉を止めた。そして、プリシラを見つめ、力強く言った。
「ディル殿下は立派な王太子、そして良き国王になられると思います」