次期国王は初恋妻に溺れ死ぬなら本望である
「俺は数日内に王太子宮に移る。お前は慣例にならって、婚姻の儀がすべて終了してから、だな」
「わかったわ。そのつもりで準備をしておきます」
ディナーを終えてミモザの宮に戻ろうとするプリシラに、今後のスケジュールを簡単に説明した。
王族の婚姻の儀は、煩雑で、やたらと時間がかかる。自分たちは事情が事情なので、派手なパーティーなどはすべて自粛することになるが、それでもすべてを終えるのに一月ほどはかかるだろうか。
一月後には、ディルとプリシラは同じ宮で生活を共にすることになる。
「あぁ、それからなーー」
「なぁに?」
「‥‥いや。今夜は付き合わせて悪かったな。ターナに送らせるが、気をつけて帰れよ」
ディルはあることを言いかけたが、思い直した。わざわざ言わなくとも、王太子宮で暮らし始めればすぐに耳に入ることだ。
「ありがとう。けど、心配しないで。ターナと互角に戦える相手なんて、王宮内ではあなたくらいでしょうから」
プリシラはくすりと笑った。その笑顔から王太子妃の仮面は消えていて、ディルをほっと安堵させた。
ターナに護衛されて宮を出ていくプリシラの背中を、ディルはいつまでも見送っていた。
「わかったわ。そのつもりで準備をしておきます」
ディナーを終えてミモザの宮に戻ろうとするプリシラに、今後のスケジュールを簡単に説明した。
王族の婚姻の儀は、煩雑で、やたらと時間がかかる。自分たちは事情が事情なので、派手なパーティーなどはすべて自粛することになるが、それでもすべてを終えるのに一月ほどはかかるだろうか。
一月後には、ディルとプリシラは同じ宮で生活を共にすることになる。
「あぁ、それからなーー」
「なぁに?」
「‥‥いや。今夜は付き合わせて悪かったな。ターナに送らせるが、気をつけて帰れよ」
ディルはあることを言いかけたが、思い直した。わざわざ言わなくとも、王太子宮で暮らし始めればすぐに耳に入ることだ。
「ありがとう。けど、心配しないで。ターナと互角に戦える相手なんて、王宮内ではあなたくらいでしょうから」
プリシラはくすりと笑った。その笑顔から王太子妃の仮面は消えていて、ディルをほっと安堵させた。
ターナに護衛されて宮を出ていくプリシラの背中を、ディルはいつまでも見送っていた。