次期国王は初恋妻に溺れ死ぬなら本望である
その時だった。ぷはっとディルが盛大に噴き出した。
「プリシラ。お前‥‥顔色がよくなったのはいいが、その化け物みたいな顔はもっとまずくないか」
「えっ!?」
「鏡見てみろ。化粧が落ちて、ひどいことになってるから」
ディルは笑いをこらえた震えた声で言う。が、次第にこらえられなくなったのか、あははと大きな声で笑い出した。
プリシラは言われた通りに手鏡で自分の顔を確認して、悲鳴をあげた。
どれだけぐっすり眠っていたのか、化粧は無残にはがれ落ち、お化けの仮装かという状態になっていた。
「ま、待って。すぐに直すから、ディルは窓の外を見ていてね。って、そもそもいまどのあたりなの? 約束の時間に間に合うかしら」
いまの衝撃で、プリシラはすっかり目が覚めた。冷静になってみると、時間も忘れて寝こけていた自分が恥ずかしくてたまらない。
「もうスワナ城の正門前だよ。五分程前に到着したところだ」
「えぇー? それなら起こしてくれればよかったのに。本当にごめんなさい。すぐに身支度を整えるから‥‥」
わたわたと動き出したプリシラを見て、ディルはふっと目を細めた。
「よく寝ていたから、まぁいいかと思ってな。それに訪ねる側は少し遅刻するくらいで丁度いいと言うじゃないか。マリー叔母上は堅苦しい人間じゃないし、問題ないよ」
本当は、寄り添って眠るプリシラからディル自身が離れがたかっただけなのだが‥‥ディルはそれを自覚していたが、もちろん口には出さない。
「プリシラ。お前‥‥顔色がよくなったのはいいが、その化け物みたいな顔はもっとまずくないか」
「えっ!?」
「鏡見てみろ。化粧が落ちて、ひどいことになってるから」
ディルは笑いをこらえた震えた声で言う。が、次第にこらえられなくなったのか、あははと大きな声で笑い出した。
プリシラは言われた通りに手鏡で自分の顔を確認して、悲鳴をあげた。
どれだけぐっすり眠っていたのか、化粧は無残にはがれ落ち、お化けの仮装かという状態になっていた。
「ま、待って。すぐに直すから、ディルは窓の外を見ていてね。って、そもそもいまどのあたりなの? 約束の時間に間に合うかしら」
いまの衝撃で、プリシラはすっかり目が覚めた。冷静になってみると、時間も忘れて寝こけていた自分が恥ずかしくてたまらない。
「もうスワナ城の正門前だよ。五分程前に到着したところだ」
「えぇー? それなら起こしてくれればよかったのに。本当にごめんなさい。すぐに身支度を整えるから‥‥」
わたわたと動き出したプリシラを見て、ディルはふっと目を細めた。
「よく寝ていたから、まぁいいかと思ってな。それに訪ねる側は少し遅刻するくらいで丁度いいと言うじゃないか。マリー叔母上は堅苦しい人間じゃないし、問題ないよ」
本当は、寄り添って眠るプリシラからディル自身が離れがたかっただけなのだが‥‥ディルはそれを自覚していたが、もちろん口には出さない。