次期国王は初恋妻に溺れ死ぬなら本望である
(そうよね。あの断片的な会話だけであれこれ思い悩んでも、結論なんて出るはずない。気になるならお父様と直接話をするしかないわ。ーーとりあえず、今は目の前の王太子妃としての仕事をしっかりしないと)
「マリー様ってどんな方なの?私は子どもの頃、遠目にお姿を拝見したことがあるくらいで、お話するのは初めてだわ」
「うーん。王族としては、かなり変わった女性だな。俺なんかを可愛がってくれていたし」
「そう!仲良しだったのね」
ディルから身内の明るい話題を聞くことは嬉しかった。マリー妃に会うのが楽しみになってくる。
「多分、ここでは完璧な王太子妃を演じる必要はないよ。のんびり過ごせばいい」
出迎えてくれたマリー妃は、プリシラの想像とは少し異なるタイプの女性だった。失礼を承知で言えば、妃よりも酒場の女将さんと紹介されたほうがしっくりくるような‥‥。背は小さくて、ぽっちゃり体型。高貴な女性には珍しく、日に焼けた肌にそばかすが浮いていた。
けれど、彼女がそこにいるだけて場がぱっと華やぐ。底抜けに明るい、まるで太陽のような女性だった。
「まぁ〜!ディルってば、しばらく会わないうちにずいぶんと大人になって。私があと10歳若かったら、愛人にしたいくらいだわ」
「血の繋がった実の甥に、なに馬鹿なことを言ってるんですか」
「あら、やぁねぇ。そのつまらない返し。お兄様に似てきちゃったのかしら。ミレイア王国いちのプレイボーイの名にかけて、ここは熱い抱擁のひとつでもしてちょうだいな」
お兄様とはミレイア王国の国王陛下のことだろうか。
(マリー様がこんなに楽しい方だったとは、知らなかったわ)
「お久しぶりです、マリー叔母上。変わらずお元気そうで、なによりです」
ディルは苦笑しつつもマリー妃を抱きしめ、親愛のキスを贈る。マリー妃は満足気に微笑むと、今度はプリシラに向き直った。
「ディルの奥方、プリシラ嬢ね。噂通りのかわいいお嬢さん。堅苦しいことは抜きにして、ハネムーンだと思ってゆっくりしていってね」
「マリー様ってどんな方なの?私は子どもの頃、遠目にお姿を拝見したことがあるくらいで、お話するのは初めてだわ」
「うーん。王族としては、かなり変わった女性だな。俺なんかを可愛がってくれていたし」
「そう!仲良しだったのね」
ディルから身内の明るい話題を聞くことは嬉しかった。マリー妃に会うのが楽しみになってくる。
「多分、ここでは完璧な王太子妃を演じる必要はないよ。のんびり過ごせばいい」
出迎えてくれたマリー妃は、プリシラの想像とは少し異なるタイプの女性だった。失礼を承知で言えば、妃よりも酒場の女将さんと紹介されたほうがしっくりくるような‥‥。背は小さくて、ぽっちゃり体型。高貴な女性には珍しく、日に焼けた肌にそばかすが浮いていた。
けれど、彼女がそこにいるだけて場がぱっと華やぐ。底抜けに明るい、まるで太陽のような女性だった。
「まぁ〜!ディルってば、しばらく会わないうちにずいぶんと大人になって。私があと10歳若かったら、愛人にしたいくらいだわ」
「血の繋がった実の甥に、なに馬鹿なことを言ってるんですか」
「あら、やぁねぇ。そのつまらない返し。お兄様に似てきちゃったのかしら。ミレイア王国いちのプレイボーイの名にかけて、ここは熱い抱擁のひとつでもしてちょうだいな」
お兄様とはミレイア王国の国王陛下のことだろうか。
(マリー様がこんなに楽しい方だったとは、知らなかったわ)
「お久しぶりです、マリー叔母上。変わらずお元気そうで、なによりです」
ディルは苦笑しつつもマリー妃を抱きしめ、親愛のキスを贈る。マリー妃は満足気に微笑むと、今度はプリシラに向き直った。
「ディルの奥方、プリシラ嬢ね。噂通りのかわいいお嬢さん。堅苦しいことは抜きにして、ハネムーンだと思ってゆっくりしていってね」