次期国王は初恋妻に溺れ死ぬなら本望である
「排除されたら‥‥なんて簡単に言わないでよ。ディルまでいなくなるなんて、絶対に許さないんだから」
プリシラはディルをにらみつけた。プリシラの怒りを感じ取ったディルはなだめるように、慎重に言葉を選ぶ。
「あくまでも可能性の話だよ。ルワンナ王妃が犯人だと言い切る根拠もない。もし、そうなったらの話だ」
「もしの話でも嫌よ!」
プリシラは彼女らしくもなく、感情的に食ってかかった。ディルがいなくなる可能性を冷静に考えることなんて、できなかった。
「お願い‥‥約束して。絶対にいなくなったりしないで。犯人なんてわからなくてもいい。自分の命を一番大切にして。絶対に死なないで」
ディルを失うなんて、彼の存在しない世界で生きていくなんて、耐えられない。プリシラは悟った。自分がどうしようもなく、彼を愛していることを。
(私を愛してくれなくてもいい。形だけの夫婦でも、なんでもいいわ。ただ、ディルに生きていて欲しい)
「わかった。約束する」
プリシラのまっすぐな眼差しを受けて、ディルはそう言った。優しく、強い言葉だった。プリシラは少しほっとして、こぼれかけていた涙をぬぐった。
「ロベルト公爵とナイードの件も、ルワンナ王妃のほうも、戻ったらもう一度探ってみる」
ディルはその言葉で話を終わりにし、「もう休もう」とプリシラをうながした。
プリシラは素直にしたがい、寝室へ向かおうとしたが、ふと立ち止まった。
振り返ってディルに問いかける。
「ひとつ聞いてもいい?」
「なんだ?」
「ディルはフレッドを嫌ってない。むしろ尊敬してる。なのになぜ、いなくなればいいなんて思ったの?」
「嫌ってないし尊敬してるが、いなくなって欲しかったんだよ。本当にこんなことになるとは思ってなかったが」
プリシラはディルをにらみつけた。プリシラの怒りを感じ取ったディルはなだめるように、慎重に言葉を選ぶ。
「あくまでも可能性の話だよ。ルワンナ王妃が犯人だと言い切る根拠もない。もし、そうなったらの話だ」
「もしの話でも嫌よ!」
プリシラは彼女らしくもなく、感情的に食ってかかった。ディルがいなくなる可能性を冷静に考えることなんて、できなかった。
「お願い‥‥約束して。絶対にいなくなったりしないで。犯人なんてわからなくてもいい。自分の命を一番大切にして。絶対に死なないで」
ディルを失うなんて、彼の存在しない世界で生きていくなんて、耐えられない。プリシラは悟った。自分がどうしようもなく、彼を愛していることを。
(私を愛してくれなくてもいい。形だけの夫婦でも、なんでもいいわ。ただ、ディルに生きていて欲しい)
「わかった。約束する」
プリシラのまっすぐな眼差しを受けて、ディルはそう言った。優しく、強い言葉だった。プリシラは少しほっとして、こぼれかけていた涙をぬぐった。
「ロベルト公爵とナイードの件も、ルワンナ王妃のほうも、戻ったらもう一度探ってみる」
ディルはその言葉で話を終わりにし、「もう休もう」とプリシラをうながした。
プリシラは素直にしたがい、寝室へ向かおうとしたが、ふと立ち止まった。
振り返ってディルに問いかける。
「ひとつ聞いてもいい?」
「なんだ?」
「ディルはフレッドを嫌ってない。むしろ尊敬してる。なのになぜ、いなくなればいいなんて思ったの?」
「嫌ってないし尊敬してるが、いなくなって欲しかったんだよ。本当にこんなことになるとは思ってなかったが」