次期国王は初恋妻に溺れ死ぬなら本望である
よくわからないディルの答えに、プリシラは唇をとがらせた。
「相手にわかるように話さないなら、答えたとは言えないと思うわ」
プリシラの反論はもっともだろう。ディルは苦笑した。
「あいつが俺の一番欲しいものを持ってたからだよ。ただ、それだけだ」
「‥‥それはなに?」
「さぁな。お前は知らなくてもーーっと、こういう言い方がダメなんだったな。
そうだな、いつかお前に伝えられる日がくるといいな」
結局、ちっともわからないじゃない。プリシラはそう言おうとしたが、自分を見つめるディルの眼差しがとても優しくて、胸がきゅっと締めつけられるようで‥‥なにも言えなくなってしまった。
「そうだ。こっちも、ひとついいか?」
今度はディルがなにか思い出したようだ。プリシラの返事を待たずにディルは続けた。
「俺がお前を好みじゃないなんて、言ったことあったか?」
プリシラは面食らった。ぽかんと口を開け、目をパチパチさせる。
「え?そんなどうでもいい話なの?直接言われたことはないけど、ディルは年上の、色っぽいタイプの女性が好きでしょ。私とは真逆じゃない」
「どうでもよくはないだろ。好みじゃないなんてことはない」
ディルは真顔で言った。
「えっ‥‥ありがとう。っていうのも
、変よね。もう、おかしなこと言わないでよ」
プリシラは自分の頬が染まっていくのを感じた。ディルの発言の意図がさっぱりわからない。またからかわれているのだろうか。
ディルがゆっくりとプリシラに歩み寄る。長い腕が伸びてきて、プリシラの首筋に触れた。
「‥‥ディル?」
ディルはプリシラの耳元に顔を寄せる。
「少なくとも、俺は同じベッドですやすや眠れる気はしないな。ーーだからまぁ、ちょっとは覚悟しといてくれよ」
寝室には大きなベッドが‥‥ひとつだけ。黒蝶の間と違い、寝台代わりになるような大きなソファはない。
「相手にわかるように話さないなら、答えたとは言えないと思うわ」
プリシラの反論はもっともだろう。ディルは苦笑した。
「あいつが俺の一番欲しいものを持ってたからだよ。ただ、それだけだ」
「‥‥それはなに?」
「さぁな。お前は知らなくてもーーっと、こういう言い方がダメなんだったな。
そうだな、いつかお前に伝えられる日がくるといいな」
結局、ちっともわからないじゃない。プリシラはそう言おうとしたが、自分を見つめるディルの眼差しがとても優しくて、胸がきゅっと締めつけられるようで‥‥なにも言えなくなってしまった。
「そうだ。こっちも、ひとついいか?」
今度はディルがなにか思い出したようだ。プリシラの返事を待たずにディルは続けた。
「俺がお前を好みじゃないなんて、言ったことあったか?」
プリシラは面食らった。ぽかんと口を開け、目をパチパチさせる。
「え?そんなどうでもいい話なの?直接言われたことはないけど、ディルは年上の、色っぽいタイプの女性が好きでしょ。私とは真逆じゃない」
「どうでもよくはないだろ。好みじゃないなんてことはない」
ディルは真顔で言った。
「えっ‥‥ありがとう。っていうのも
、変よね。もう、おかしなこと言わないでよ」
プリシラは自分の頬が染まっていくのを感じた。ディルの発言の意図がさっぱりわからない。またからかわれているのだろうか。
ディルがゆっくりとプリシラに歩み寄る。長い腕が伸びてきて、プリシラの首筋に触れた。
「‥‥ディル?」
ディルはプリシラの耳元に顔を寄せる。
「少なくとも、俺は同じベッドですやすや眠れる気はしないな。ーーだからまぁ、ちょっとは覚悟しといてくれよ」
寝室には大きなベッドが‥‥ひとつだけ。黒蝶の間と違い、寝台代わりになるような大きなソファはない。