能ある鷹は恋を知らない
「お久しぶりです」
「久しぶりだね。ごめん、穂積のやつまだ打ち合わせから抜けられなくて」
「いえ、忙しいのは分かってますから」
挨拶をしていると秘書らしき女性がコーヒーを二つ持って近づいてきた。
促されてもう一度椅子に座ると熊澤さんも向かいに腰かけた。
そのタイミングに合わせてコーヒーが机上に置かれる。
「ありがとうございます」
「ありがと。芹香ちゃんここ来るの初めて?」
「はい。ほんとに綺麗で大きくて、さっきも落ち着かなくてそわそわしてました」
「ごめんね、穂積がいれば良かったんだけど。仕事のことになると一切妥協しないから、大体予定より長引くんだよ」
「ふふ、高島さんらしいです」
熊澤さんはコーヒーを一口飲むとふ、と息を漏らすように笑った。
「でも、最近変わったかな。急ぎじゃないときは残業しないで帰ったりするし」
「そうなんですか」
「芹香ちゃんのおかげだよ。仕事しか頭にない奴だったから、ちゃんと休んでるか心配だったけど、ちゃんと癒しができて良かった」
「そんな…私なんて高島さんに何もできてないですし」
そう、高島さんは私に何でもしてくれるけど、私は何も返せていない。
「そんなことない。芹香ちゃんと付き合ってほんとに変わったんだ。今までは…うん、ちゃんと付き合うってことをほとんどしなかったから」
熊澤さんは言葉を濁すように言ってくれたけど、今までの高島さんの女性関係がひどいのはすでに察しがついている。
そういえば、熊澤さんは高島さんを学生時代から知っている。
「あの、お聞きしたいんですけど、高島さんて学生時代はどういう人とお付き合いしてたんですか?」
「え?」
「あ、御堂さんのことは聞いてるんですけど…」
「そっか…うーん、でも確かに、由加梨みたいなタイプが多かったかな」
つまり、美人で色気があって仕事がバリバリできるような女性がタイプってことですね。
…だめだ、完全に自分で自分を追い詰めてる。
「あ、でも芹香ちゃんと付き合って穂積丸くなった気がするんだ。芹香ちゃんが一番あいつに合ってるんだと思う。難しい奴だけど、これからもよろしくね」
熊澤さんのフォローが優しすぎる。
ほんとにいい人だ。
思わず口元が綻んでしまう。
「確かに難しい人ですけど、私には勿体ないくらいの人です。また何かあったら相談しても良いですか?」
「もちろん。付き合いだけは長いからね。それに芹香ちゃんの頼みなら断れないよ」
「こんな公衆の面前で口説くとは良い度胸だ」
聞き馴れた声が聞こえたかと思うとすぐそこに高島さんが立っていた。
「久しぶりだね。ごめん、穂積のやつまだ打ち合わせから抜けられなくて」
「いえ、忙しいのは分かってますから」
挨拶をしていると秘書らしき女性がコーヒーを二つ持って近づいてきた。
促されてもう一度椅子に座ると熊澤さんも向かいに腰かけた。
そのタイミングに合わせてコーヒーが机上に置かれる。
「ありがとうございます」
「ありがと。芹香ちゃんここ来るの初めて?」
「はい。ほんとに綺麗で大きくて、さっきも落ち着かなくてそわそわしてました」
「ごめんね、穂積がいれば良かったんだけど。仕事のことになると一切妥協しないから、大体予定より長引くんだよ」
「ふふ、高島さんらしいです」
熊澤さんはコーヒーを一口飲むとふ、と息を漏らすように笑った。
「でも、最近変わったかな。急ぎじゃないときは残業しないで帰ったりするし」
「そうなんですか」
「芹香ちゃんのおかげだよ。仕事しか頭にない奴だったから、ちゃんと休んでるか心配だったけど、ちゃんと癒しができて良かった」
「そんな…私なんて高島さんに何もできてないですし」
そう、高島さんは私に何でもしてくれるけど、私は何も返せていない。
「そんなことない。芹香ちゃんと付き合ってほんとに変わったんだ。今までは…うん、ちゃんと付き合うってことをほとんどしなかったから」
熊澤さんは言葉を濁すように言ってくれたけど、今までの高島さんの女性関係がひどいのはすでに察しがついている。
そういえば、熊澤さんは高島さんを学生時代から知っている。
「あの、お聞きしたいんですけど、高島さんて学生時代はどういう人とお付き合いしてたんですか?」
「え?」
「あ、御堂さんのことは聞いてるんですけど…」
「そっか…うーん、でも確かに、由加梨みたいなタイプが多かったかな」
つまり、美人で色気があって仕事がバリバリできるような女性がタイプってことですね。
…だめだ、完全に自分で自分を追い詰めてる。
「あ、でも芹香ちゃんと付き合って穂積丸くなった気がするんだ。芹香ちゃんが一番あいつに合ってるんだと思う。難しい奴だけど、これからもよろしくね」
熊澤さんのフォローが優しすぎる。
ほんとにいい人だ。
思わず口元が綻んでしまう。
「確かに難しい人ですけど、私には勿体ないくらいの人です。また何かあったら相談しても良いですか?」
「もちろん。付き合いだけは長いからね。それに芹香ちゃんの頼みなら断れないよ」
「こんな公衆の面前で口説くとは良い度胸だ」
聞き馴れた声が聞こえたかと思うとすぐそこに高島さんが立っていた。