能ある鷹は恋を知らない
「今日は大胆だな」
「だって…高島さんが、こういうセクシーな方が好きなんでしょう…?」

由加梨さんみたいな色気のある大人の女の人が。

そう言うと高島さんは意外そうな顔で私を見た。

「そんなことを言った覚えはないが」
「だって…昔から由加梨さんみたいな人と付き合ってたって。私には…あんな色気ないから…」

しりすぼみになる言葉に高島さんが小さくため息をついた。

「あまりきみに言いたくはないが後腐れのない女と付き合ってきたのは事実だ。色気だなんだのは気にしたことがないし、きみに求めたこともない」
「それはそれで複雑なんですけど」
「俺はきみの真っ直ぐなところが好きだ。その癖自信がなくて打たれ弱いところも含めてな。それに…こうして俺に好かれようと慣れないことをする可愛いところもな」

そう言って高島さんの手がするりと脚を撫でる。
その手つきにびくりと反応してしまうが聞き逃せない一言があった。

「ん…っ高島さん、好きって…」
「ん?当たり前だろう。何を今さら言っている」
「だって初めて言ってくれた…ぁんっ」

嬉しい。いつも色々な形で気持ちを伝えてくれるけど、なかなか言葉では言ってくれないから。

私の弱いところを知り尽くした手が触れる度に身体中に火を灯していく。

「良かった…」
「何がだ」
「高島さんから初めて聞けて…熊澤さんのおかげ…あっ」

その瞬間くるりと反転させられ、ベッドに押し倒された。
なぜか高島さんは眉間に皺を寄せている。

「ベッドの上で他の男の名前を呼ぶとは余裕だな」
「え…そんなつもりは…」
「言い訳は聞かん」
「んっ」

一気に深い口付けに翻弄される。
夢中になっていると高島さんの手がするりと身体をなぞっていく。
肌を隠さない小さい面積のショーツを指でなぞられると身体が跳ねるように反応して声が漏れた。

「ぁん…っ」
「は、良い声だ…芹香、後ろも見せてみろ」
「やだ、恥ずかし…っ」

抵抗する私を簡単に転がして背面を向かされる。
お尻を突き出すような姿勢にたまらなく羞恥心を煽られる。

「や…っお願い、見ないで…っ」
「それはできないな。俺を誘惑したいんじゃないのか」

こんなの、恥ずかしくて耐えられない…っ!

羞恥に涙が浮かんで来るが、高島さんはそのままキスを落とすように唇で背中をなぞる。
見えない姿勢で高島さんの手が色んなところに触れる度にはしたない声が響く。

「あぁ…っ」
「芹香…」

汗ばんだ手、余裕のなくなってきた声にその先を予感して身体が疼いた。

いつの間にこんなにやらしくなってしまったんだろう。
高島さんが欲しくて仕方がない。

涙目で振り返り、高島さんの顔を見た。

「お…ねがい、早く…」
「…っ」

息を詰めるような高島さんの顔が見えた瞬間、身体を貫くような熱を感じた。
反射的に出る声がベッドルームに響き渡る。
揺さぶられる感覚にいつもより性急な動きが高島さんの余裕のなさを物語っていた。

欲情のままに互いを求め、時間を忘れるように抱き合った。
意識を失いそうな朦朧とした中、手を伸ばしてキスを求めた。

大好き。好きで好きで仕方ない。

幸せな熱に包まれたまま、汗ばんだ背中を抱き締めた。

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